2011/05/20

『工事着工、根切り工事』

工事着工


工事着工した。
着工

































敷地には雑草が元気よく咲いていた。雑草の花さえ美しくみえる。




まず最初に行われるのが建物の位置を確定する墨出しという作業。隣地との離れや道路からの距離など、図面通りに位置を確定していく。また同時に安全上、そして隣接建物を保護するため仮囲いを行う。





根切り

その後最初に行われる工事が根切り工事である。
根切り工事とは地面を掘る工事である。鉄筋コンクリート造の建物は重量が重いため、強い地層―支持地盤―にしっかりと基礎を載せる必要がある。そのため支持地盤まで地面を掘削。軟弱地盤の場合は杭を打つが、今回の土地は良質な支持地盤が地盤調査で確認されていた。この地の支持地盤は、関東ローム層(火山噴出物が粘土化したもの)で、綺麗な赤土は一目で確認できる。

根切り工事後の支持地盤確認。綺麗な赤土だ。手前は砕石が見える。




















根切り工事では、建築の平面図に沿って掘られる事から、建物の大きさが現前とする瞬間であり、感動の瞬間でもある。


この後、砕石を敷詰め、防湿シートを敷き、捨てコンクリートを流して基礎の下地をつくる。

『北沢プロジェクトの概要』

北沢プロジェクト

(仮称)北沢プロジェクト(以下、北沢プロジェクト)は、事務所と住宅を用途とする建築家の自邸プロジェクトである。




計画地

計画地は東京都世田谷区北沢5丁目、20坪弱の細長い小さな土地。代々木上原と東北沢、そして笹塚の3駅の丁度間位に位置し、それぞれ10分程度の徒歩圏になる。接道は北側4.5mの公道。この道は北沢5丁目商店街であり、商店街に面することがこの敷地のひとつの特徴である。
北沢5丁目商店街は、笹塚駅から南に伸びる観音通り商店街から延長するように井の頭通りまで延びる商店街。ただし商店街の機能は、近年駅前の大型商業施設に吸い取られるように縮小し、言葉を選ばなければ寂れた商店街、言い方をかえれば住宅街へと急速に姿を変えつつある。この商店街との関係は、計画のひとつのテーマとなっている。
そしてもうひとつ特筆すべきは、この土地を鳥瞰的に眺めたときだ。建物の上階から、北側の商店街側を見ると、商店街路が見え、その向こうに新宿副都心の都庁や新宿パークタワー、そして初台のオペラシティなどの超高層ビル群が望める。 ‘ The 東京 ’ とでもいうべき都心の世界が広がっている。一方南側を見ると、低層住宅街が地平線まで広がり、晴天時には富士山まで一望できる。東京のベッドタウン、郊外の風景を望むことができる。
北を見ると都市、南を見ると郊外。そう、ここは都市と郊外の境界に位置しているのだ。



境界

境界といったが、そもそも都市と郊外に境界が存在するだろうか。境界など存在せず、都市と郊外は緩やかにグラデーションのように変遷していくものだ。しかしここに立って前を向くと明らかに都市の風景が広がり、一方反対側の後ろを向くと、これまた明らかに郊外の風景が広がっている。この明確な対比を、ここでは認識することが出来る。境界とは人の認識の上に出来上がった概念である。




構成

空間構成は上述の境界の概念から成っている。鳥瞰的に見る、都市から郊外へのグラデーションの流れのなかにこの建物も存在する。都市でもあり郊外でもある。この世界感が建物の骨格となる。建物の中のどの場所に居るかによって、そしてどちらを向いているかによって、空間は都会になったり郊外になったりする。住まい手がその日その時の気分によって居心地の良い場所や方向を探し、住まい手の意思によってその空間の質を完成させることになる。



用途・規模


用途は事務所と住宅。1階を事務所とし、商店街路と連続的な関係を築きたい。事務所とは建築・デザイン事務所だが、ワークプレイスやアトリエなど制作場としての使用のほか、様々な業種の人と勉強会を開いたり、スクールを開いたり、または個展などのギャラリーとしての活用も想定したい。街のサロンとしての活用を考えている。そして2階から上は住宅とする。結果として3階建ての鉄筋コンクリート造の建築となった。

『自邸プロジェクト』

自邸

かねてより計画していた自邸プロジェクトがいよいよ着工する。
事務所、そして自宅として計画した建築は、まずは土地探しから始まった。




相反する要望

事務所を構える場所としては都会の繁華街、一方住宅として住むには落ち着いた静かな環境がよい。まずは要望を並べた。
要望を並べると、事務所と住宅、都会と郊外、繁華街と住宅街など、一見相反するものであったが、そのどちらも諦めることなく両方を享受できることを望んでいた。両方の性質を2項対比的に考えるなら(仮に白と黒とすると)、白と黒両方で ‘ グレー ’ と考えがちだが、そうではない。 ‘ 白も黒も ’ である。




建ち方

建築とは住まい手だけのものではない。建築された建物は周りに少なからず影響を与えてしまうことから、その周辺地域のものでもある。それならば、自分だけが幸せを得られる建築ではなく、周りにも幸せを提供できる建築であるべきであろう。しかしこのさじ加減は実は難しい。提供という言葉も少々押し付けがましいかもしれない。もっとささやかなものがよい。
例えばこどもの日に、自分の子供のために、こいのぼりを掲げる。家族で楽しんでいることが、実はそれを見た近所の人も楽しんでいる。こんなふうに住み手の幸せがほんの少し漏れ出て、それによって周囲の人々もほんの少し幸せになる。
これはどのようにデザインできるだろうか。そしてこれはどのような佇まいの建築であろうか。




自邸プロジェクト、完成までを備忘録を兼ねて記録していきたい。