1階床の打設後、1階壁の外壁側型枠と鉄筋配筋の組み立てが進められた。
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奥から商店街をみる。 |
壁が立ち上がってくると、いよいよスケール感が明確に把握できる。
敷地が狭小地で隣地建物との離れがわずかでもあるため、先に外壁側の型枠を立込み、鉄筋を配筋して、一旦配筋検査を行う。検査を終えると、返し型枠(内壁側の型枠)を組む。すなわち外側から内側に順次施工していく流れとなる。
コンクリート打放し仕上
鉄筋コンクリート造とは、圧縮に強いコンクリートと引張りに強い鉄筋を組み合わせた、それぞれの性質を補い合う躯体構造物である。また構造上の観点だけではなく意匠上もコンクリートの打放しは美しいものだ。
コンクリート打放し仕上げは見た目には美しいが、内外を打放し仕上げにするのは難しい。これは断熱材の扱いがあるからである。一般には内断熱または外断熱として、外側または内側の一方を打放しとし、もう一方は断熱材のうえ仕上材で仕上げる。
今回の計画では、基本的には外壁ファサード面、そして室内内壁全般をコンクリート打放し仕上げとしている。
断熱
内外打放しの建築は一般に断熱材がないと思ってよいだろう。(北海道の安藤忠雄設計、水の教会などは、内外打放しだが分厚い壁体内に断熱材が埋め込まれている。) 断熱材のない設計をするということは、コスト上ということもあるが、断熱環境が悪くなるため通風や断熱・遮熱など、より室内環境に気遣った設計が必須となる。
かつて勤務した設計事務所の入居していたテナントビルは内外打放し、断熱材のない建築だった。立地や室内環境設計にも問題があったと思われるが、冬は極寒、夏は灼熱、冷暖房の効きも半日はかかったように記憶している。
こういった経験から今回は基本的に断熱材を使用することとし、外断熱仕様とした。外断熱の具体的仕様は、コンクリート打込み型枠兼用となるGRCパネルの使用である。
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コンクリート打込型枠兼用パネル。 型枠と打設後イメージ |
GRCパネルとはGRC(ガラス繊維強化セメント)と断熱材(スタイロフォーム)が一体となったパネルで、施工方法としてはコンクリ打設時にこのパネルを外側の型枠として使用し、そのまま型枠が外壁になるというものである。断熱効果を期待したい。
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写真左が室内側、断熱材と外壁躯体のための鉄筋が見える。 写真右は外部側、グレーのパネルがGRCでこれが外壁になる。 |